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路線事業者(特別積合せ貨物運送 特積み事業)


営業区域規制の廃止
 営業区域規制の廃止に伴い、営業区域は運輸支局の管轄区域を単位として設定すること、営業所は営業区域内にあることなどの営業区域に関する事項が削除されました。営業区域の概念はなくなったわけですが、既存事業者は変更認可等の手続きを行う必要はありません。しかし一部の事業者については、営業区域・業務の範囲を残しています。霊柩事業・一般廃棄物・島嶼(他の地域と橋による連絡が不可能な島等)については「霊柩の運送に限る」「発地着地のいずれもが東京都の区域以外の存する運送を行ってはならない」等の業務の範囲を限定する条件を付すこととしています。

最低車両数台数規制の特例および最低車両数の全国統一
 従来は、最低車両数について各運輸局により違った台数が定められていましたが、今回の改正により最低車両数については全国統一的に5台と定められました。なお、霊柩事業・一般廃棄物運送事業および島嶼における事業については特例として5両に満たなくてもよいことになっています。

貨物自動車利用運送
 今回の法改正で、貨物自動車運送事業の一形態と整理されることとなりました。貨物自動車利用運送とは、一般(特定)貨物自動車運送事業を経営する者が、他の者の行う実運送を利用する貨物の輸送を言います。自らの引受けた運送を他の事業者に下請けに出す事業形態は典型的な貨物自動車利用運送といえます。 この形態の輸送はこれまでは貨物運送取扱事業法上の第一種利用運送事業として取り扱われてきました。

車令制限規制の廃止 
 以前は「原価償却資産の耐用年数等に関する省令」の耐用年数を超えたものについての車両の登録は出来ませんでしたが、今回の改正で車令制限規制が廃止されたために、年式等のしばりがなくなりました。

法令遵守の明確化
 従来からの新規許可等の法令遵守をより具体化し、法人の業務を執行する常勤役員の範囲について、相談役等事業の経営に関し、実質的に影響力を及ぼす者の処分歴等を明確化しています。

基本通達の改正に伴う細部取扱の見直し
  新規許可申請の事業開始に要する資金及び調達方法の中で法定福利費の項目を細分化し、健康保険料雇用保険料等の細部項目を追加して適正な資金計画の明確化を図るようになりました。また、運輸開始の届出にあたり、届出用紙に社会保険等の加入状況を記入する欄を設け、把握することによりその状況を適正化実施機関に連絡してフォローアップを図ることが出来るように届出用紙を定めました。

運賃料金設定(変更)届出について
  今回の改正で運賃料金届出については貨物自動車運送事業報告規則の中で定められることになり、変更後30日以内に届出ることになりました。事前届出から事後届出になったわけです。また届出書の提出先についても明らかになりました。

@運賃及び料金設定(変更)届出書の提出先について
   特別積合せ貨物運送に係る運行系統が二以上の地方運輸局長の管轄区域に設定され、かつ、運行系統の長さが100キロメートル以上のものは国土交通大臣あて。
 ・ 上記以外の一般貨物運送事業者および特定貨物自動車運送事業者については、主たる事務所を管轄する地方運輸局長あて。

A運賃及び料金の種類について
   積合せ運賃、宅配便運賃、貸切運賃等、運賃の種類を明らかにします。

B運賃及び料金の額及び適用方法について
  運賃の額については、輸送貨物の重量、距離などに応じて、利用者にとってわかりやすいものでなければならないとされています。特に一般消費者が利用の対象となる宅配便や引越運送については、消費者保護や利用者の利便を図るために「確定額」とすることとされています。適用方法については、運賃の種類ごとに、適用範囲、運賃及び料金の計算方法、運賃の割増または割引の対象等を記載することとなっています。

C 一般消費者の保護及び利便性の確保を図る観点から、一般消費者が契約の当事者となる宅配便、引越、霊柩等に係る運賃及び料金については、従来のとおり掲示することになっています。


  今回の改正法で、運賃・料金規制が緩和され事業者の独自の設定、変更により容易になりました。しかし、どのような運賃・料金でも認められるわけではありません。場合によっては、事後的に運賃・料金に対して事業改善命令が発動されることがあります。
  事業改善命令の発動基準は多種多様な運賃・料金が存在しますので一律には決められません。以下の場合に発動される可能性があります。

荷主に対し不当な差別的取扱となるおそれがある場合

  ・ 特定の大口荷主や長距離輸送の利用者だけを不当に割安にしたり、一見客や近距離輸送の利用者に不当に割高になっているもの。
  ・ 貨物の重量、距離に関係なく、一律に〇〇円としていもの
  ・ 貨物の商品価格の〇〇%としているもの

他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがある場合
  ・ 特定の市場を対象に、他の事業者の排除のみを目的として、一定期間にわたり継続的に著しく原価を下回るような極端な運賃・料金を提供して、その収奪を狙うようなもの
  ・ 同様のサービスを提供する他の事業者との関係において、著しく安く、継続的に過積載や過労運転など安全性を阻害した不当な条件での競争を前提としているもの

社会情勢に照らし不当に高すぎる運賃・料金の場合

  ・ 宅配、引越等個人を対象とする運賃・料金について、利用者が容易に理解することが困難なものや利用者に不測の損害を与えるおそれがある場合
  ・ 割増又は割引の適用範囲が不明確なもの
  ・ 実費の範囲が不明確なもの

現行の原価計算書等の添付を省略出来る範囲については、当分の間、原則として事業改善命令の発動基準に該当しないものと推察される旨を明記する。

その他
  営業報告書等の報告書について、貨物自動車利用運送事業にかかる項目を追加しました。



貨物自動車運送事業者は、事故や道路交通法違反を引き起こした場合などには、国土交通大臣の監査を受けることになります。監査は、輸送の安全確保、元請事業者の下請事業者に対する安全阻害行為など、不的確事業者の摘発を目的に行われます。監査が行われた結果、法令違反を犯していた場合には、厳正な行政処分が実施されます。行政処分は軽いものから順に、自動車その他輸送施設の使用停止、事業の全部又は一部の停止、許可の取消しとなっています。なお、ここまでに至らないものは、軽微なものから順に、口頭注意、勧告、警告となっています。

特別監査
 全般的な法令遵守状況について特別に行う監査です。具体的には酒酔い運転や死亡事故などの悪質な違反を伴う事故などで社会的影響の大きい事故又は悪質違反を引き起こした事業者などで過去の監査、行政処分などの状況などを勘案して随時監査が必要であると認められる事業者に対し行う監査。

重点監査
 利用者などからの苦情、過去の監査、事故の発生状況など、著しい違法性の疑いがあり、監査が必要であると認められる事業者について重点項目を定めて行う監査。

呼出鑑査
 特別監査・重点監査以外で、公安委員会などからの通報により違法性があり、監査が必要であると認められる事業者に対して、事業者を呼び出して行う監査。

呼出指導
 特別・重点・呼出鑑査を受けていない事業者であって、指導を行うことが必要と認められる事業者に対して、自主点検表を提出させて行う指導。

違反の点数制度
 違反には違反点数制度がとられます。法令違反を繰返すと違反点数が増え、一定の違反点数にたっすると事業の停止や許可の取消しとなります。自動車の使用停止処分10日車まで1として、違反点数をカウントしていきますが、違反点数は事業者単位で累計されます。違反点数と処分の関係は3年間を一区切りとして、事業者単位で違反点数の累計が50点を超える場合には、50点を超えた営業所に対して自動車の使用停止処分に代えて事業の全部又は一部停止となりますさらに、3年以内に違反点数の累計が80点を超えてしまうと、事業許可そのものが取消し処分となります名義貸しや事業の貸渡し等の再違反については累計点数に関係なく許可取消し処分となります。また累計期間は3年とされていますので、行政処分が行われた日から3年を経過すると消滅します。

処分の公表
 今回の法改正を機に業界への警鐘などの観点から、事業者の名称、処分の内容などを地方運輸局単位で公表することになりました。

 @公表の範囲
 自動車などの使用停止処分を受けた貨物自動車運送事業者事業の全部又は一部停止処分を受けた貨物自動車運送事業者許可の取消し処分を受けた貨物自動車運送事業者

 A公表の内容
 処分等の年月日
 事業者の氏名又は名称及び当該処分等の営業所名事業者及び当該処分等の営業所の所在地(市町村まで)
 処分等の内容
 主な違反事項
 違反点数付与の状況

 B公表の時期及び方法
 処分の公表は報道機関への資料提供や運輸局局報、ホームページへの掲載という方法で行われます。
 
輸送の安全確保
 法23条によると一般貨物運送事業者が「輸送の安全が確保されていないと認める時」には「その是正のために必要な措置を講ずるべきことを命ずることができる」としています。今回、この輸送の安全確保命令の発動基準が公表されました。これによると「輸送の安全が確保されていないと認めるときは」とは

 @違反点数の累計が20点を超える事業者で、20点を超えることになった行政処分の日から3年以内に再度輸送の安全確保違反に伴い、死亡事故または重傷事故を引き起こした場合

 A輸送の安全確保違反の内容が、社会的に影響のある悪質なものであるとき

このような場合には、その違反に対して行われる自動車などの使用停止以上の行政処分に併せて、輸送の安全確保命令が行われることとなりました。その際、事業者を運輸支局などへ呼び出し違反是正のため必要な措置をとるよう指示するとともに、3ヶ月以内に措置の実施状況についての報告を行うことになっています。なお、この報告が期間内に行われない場合には輸送の安全確保命令違反となり、再度従わないときは許可の取消し処分が行われます。



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