東京都トラック協会(浅井時郎会長)では、312社3団体に対し、運送取引の正常化について、文書により要望を行いました。また、傘下会員には、取引の正常化にかかる啓蒙文書を配布するとともに、取引実態のアンケート調査を実施します。
《荷主団体宛文書》
「運送取引の現状とお願いについて」
謹啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は、私どもトラック運送業界に格別のご理解ご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私どもトラック運送事業者の運賃・料金につきましては、平成2年12月施行の貨物自動車運送事業法第11条により運輸大臣への事前届出が義務づけられております。また、同法第12条により収受した運賃・料金の割戻しをしてはならないこととされています。
しかしながら、長引く経済不況下にあって、一部荷主企業からの運賃・料金の引き下げ要請や協力金の名目による値引き要請が続いており、輸送サービスの対価である運賃・料金の収受状況は、極めて厳しい環境にあります。
一方、東京におきましては、都民の命と健康を守るため、環境問題への対応が急務であり、私どもと致しましても、低公害車の導入や車両の代替を積極的に進めておりますが、更に今後は、ディーゼル車排出ガス微粒子除去装置の義務付けも俎上にあり、また燃料価格の高騰や相次ぐ高速道路料金の値上げ等のコストアップ要因も重なり、トラック運送事業を取り巻く情勢は大変厳しく、輸送の安全確保が困難な状況にあります。このことは、過労運転、過積載や速度超過運行等を引き起こし、重大事故を誘発する一因となることは否定できません。
私どもでは、輸送の安全確保、環境対策への取り組みとともに、効率的な輸送を行うための調査・研究をはじめ、情報化の推進による経営の合理化等に積極的に取り組んでおります。
つきましては、荷主各位におかれましては、困難な経営を強いられている私どもの窮状をご賢察戴き、私どもトラック運送事業者が、今後とも荷主各位のご要望にお応えして安定した良質な輸送サービスを提供させて戴くために、適正な運送取引につきまして、特段のご理解とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。
敬具
《会員あて文書》
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「運送取引きの正常化について」
謹啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、トラック協会の運営に一方ならないご支援ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、現下の経済不況の中におきまして、日夜事業経営にご協力を重ねておられる会員の皆様方に、改めて敬意を表しますとともに、運輸事業維持が極めて困難な現状に思いをいたし、協会長として一言申し上げ、意をお汲み取り戴きたく、今回このような書面をしたためた次第でございます。
皆様ご承知のとおり、平成2年12月から施行された物流ニ法により、運送事業への新規参入や運賃・料金の事前届出制など大幅な規制緩和がなされ、今日燃料価格をはじめとして、コストアップが続く中で、輸送サービスの対価である運賃・料金の収受状況は、極めて厳しい環境にあり、過積載・速度超過運行や過労運転等による事故も増加傾向になって参りました。
私たちは、お客様から安全・迅速・低廉に運送することを常に求められこのようなご要望に的確にお応えすることが使命であると考えます。このためには、私どもの経営基盤の確立が、極めて重要になってまいります。磐石な経営基盤があってこそ、良質な運行管理や労働環境の維持が可能となり、交通事故や労働災害事故を未然に防ぐことが出来、今後の環境問題への対応を含め、運輸事業としての社会的責務を果たすことが出来るのではないかと考えます。
つきましては、荷主団体各位には、別途書面により、適正な運送取引について、ご理解とご協力をお願いしておりますことをお伝えしますとともに、運輸事業の長期的展望のもとに、皆様方におかれましても、良質な取引関係の維持に
お取り組み下さいますよう切にお願いする次第でございます。
意のあるところをお汲み取り戴きますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具
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