大型貨物自動車への速度抑制装置の義務付けについて国土交通省自動車交通局技術安全部技術企画課より
1、規制の必要性
●大型トラック(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上)による高速道路での事故は、死亡事故に至ることが多く、 高速道路の死亡事故の約23%を占めている。
●その約半分は追突事故であり、ほとんどが法定制限速度80q/hを超過して走行していたときに発生している。
●このため、大型トラックの速度の速度抑制対策が必要である。
2、規制の概要
●高速道路における大型トラックの制限速度の遵守を徹底し、事故の防止を図るため、速度が90q/hに至った場合には、運転者がアクセル操作を行っても加速できなくなるという機能を有する速度抑制装置の装着を義務付ける。
●対象は、新車及び使用過程車(平成6年排出ガス規制以降の排出ガス規制適合車に限る)とする。
●平成15年9月1日から施行する。使用過程車については、初度登録日に応じて、平成17年8月末までの2年間に順次適用される。個別の自動車の適用日は、自動車検査証の備考欄に記載される。
●適用猶予期間終了後の平成17年8月には、その時点における保有台数約82万台のうち、約64万台(約78%)に装置が装着されると推定される。なお、装着対象外の車両は、平成17年の時点で車齢が概ね10年以上と古くなり、順次 新車に買い替えられることから、その2年後に約4万台(約5%)、4年後には約1万台(約1%)となる。
●使用過程車への速度抑制装置の取り付け費用は、約20万円である。新車については、数万円である。
●同様な規制は、EUにおいて平成6年から実施されており、事故防止に有効であると評価されている。
3、規制内容の検討
●規制に先立ち、学識経験者、関係業界、関係省庁等からなる検討会において検討した結果、「規制は妥当であり、制限 速度80q/hに緊急的な危険回避に必要な余裕速度として10q/hを加えた90q/hが速度抑制装置の上限速度として適当」との結論である。今回の義務付けは、この検討結果に基づくもとである。
4、スケジュール
●平成13年3月29日 パブリックコメントの募集結果についてプレス発表
●平成13年4月中 道路運送車両法の保安基準(国土交通省)の改正を公布
●平成15年9月1日 新車及び使用過程車に対する規制開始
●平成17年8月31日 規制対象となる使用過程車への取り付けが終了
国土交通省は、スピードリミッターの装着時期が集中することを回避するため、2002年7月25日、適用範囲および適用時期を次のとおり告示しました。
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初年度登録年月日 |
適用期日 |
94年
排出ガス規制適合車 |
1998年1月1日以降 |
2003年9月1日以降の最初の検査の日 |
1997年1月1日〜12月31日 |
2004年9月1日 〃 |
1996年12月31日以前 |
2005年9月1日 〃 |
98・99年
以降の同規制適合車 |
2003年1月1日以降 |
2003年9月1日 〃 |
2002年1月1日〜12月31日 |
2004年9月1日 〃 |
2001年12月31日以前 |
2005年9月1日 〃 |
また、自動車NOx法対象地域(特定地域)に本拠をおき、初度登録が97年12月31日以前でNOx法により3年以上使用できないトラックは、装着が免除されます。ただし、本拠を特定地域以外に移した場合は取り付け義務の対象車となります。なお、今回、94年排出ガス規制以降のトラックを義務付け対象としたのは、89年(平成元年)規制を含むそれ以前のトラックは(猶予の最終年月日である)2006年8月末までには概ね廃車されるためです。
規制の対象外
高速道路のない離島に使用の本拠をおき、離島以外の道路を運行しないもの。ダンプ車・ミキサー車・塵芥車などのうち、一定の用途に限って使用され、高速道路を走行しないもの。この場合、基準緩和申請を行い、個別審査のうえ、「離島以外の道路を運行しない」などの表示を(ステッカー)自動車の前後に貼付
平成15年税制改正で国土交通省は、運輸事業振興助成交付金制度の5年間延長のほか、低公害車取得促進による経済活性化税制の創設、速度抑制装置(スピードリミッター)の早期装着車に対する特例措置の創設などを要望。速度抑制装置早期装着特例では、規制適用前に装着した使用過程車に対し、規制適用の前月分まで自動車税を3分の一軽減する。
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